全ての始まりは福島原発事故からだ。 汚染水の海洋放出。 (知床の流氷) [環境 原子力]
汚染水の海洋放出。
全ての始まりは福島原発事故からだ。
人命の安全より「コストと利便性」を優先した東電の経営体質が重大事故を招いた。
汚染水の海洋放出で不利益を被る漁業者の怒りは収まらない。
福島第一原発が立地する場所は、海抜35mの切り立った台地。東電は「便宜面とコスト面」から海抜10mまで土を削り取って原発を建設した。
自己肯定バイアスの顕著な発現だ
工事中、地下水が湧き出したため、サブドレン(汲み上げ井戸)から地下水を海洋に放出するシステムを作った。
このシステムを2011年3月に地震と津波が襲い破壊した。
大量の地下水が原子炉建屋に流入し、汚染源、デブリに触れ「汚染水」となって海洋に流出。
「汚染水の海洋放出」は東電の「判断ミス」が原因だ。
2011年6月、東電は地下水流入を防ぐため、1~4号機を囲む地下遮水壁を作る計画案を提出した。
当初「スラリーウォール(粘土壁)」工法が提案されたが、1000億円レベルの工事になることがわかったため、東電自身がこの案を否定し、実現には至らなかった。
東電の大きな判断ミスだ。
コスト優先は合理性を無視し、現状を悪化させただけだ。
重大事故はコスト優先を重要な要因として、絶えることなく繰り返される。
検証をすることもなく、汚染水対策の切り札として、国が前面に立って進めたのが「凍土遮水壁」だ。
自己肯定バイアスはこうして発現する。
「凍土遮水壁」とは、原子炉建屋周辺の約1.5kmに1m置きに配管し、深さ約30mの凍結管を打ち込み、マイナス30℃の冷媒を循環させる。その凍結管によって、徐々に土を凍らせ、氷の壁を構築する工法だ。
これほど大規模な凍土壁は実績がなく、成功すると考えている専門家はほとんどいなかった。
この前代未聞の計画に、国は345億円を投じた。
★予想通りの失敗
この計画には当初から多くの疑問、問題があった。まず、一日400トンという膨大な地下水の流れを凍らせられるはずがない。流れる水は凍らないことは誰もが知っている常識だ。凍結のために膨大な電力を必要とした。
廃炉の30~40年間の電力費用や耐久性も疑問視されていた。
デブリを除去しない限り汚染水は発生し続ける。
多くの疑問と反対の中で工事は強行され、2016年3月から凍結を始めたが予想通り失敗。未凍結部分にセメント注入も行われた。
現時点で、汲み上げなければならない地下水の量はほとんど変わっていないことを東電も認めた。
原子力規制委員会の外部有識者は「計画は破たん」と指摘した。
2011年の事故で「メルトダウン」を起こした福島第一原発1号機、2号機、3号機では、溶け落ちた核燃料を冷やすために今も水を入れ続けている。これに加えて地下水や雨水が原子炉建屋内に流れ込んでいるため、1日およそ90トンのペースで「汚染水」が発生している。
地下水の流入量は、雨に左右されることが多い。東電のデータによると、雨が少ない1月は1日平均83トン。しかし、台風の影響下では866トンもの地下水が流れ込む結果となった。
汚染水に含まれている放射性物質の大半はALPS(多核種除去設備)と呼ばれる専用の設備で除去される。取り除くことが難しい「トリチウム」など一部の放射性物質を含んでいる水を「処理水」と呼ぶ。
処理水は6月29日現在でおよそ134万トンあり、敷地内に設置されている約1000基のタンクで保管されている。
セメントや鉄板など従来工法で囲う工事が行われていたら、ここまで事態が悪化することはなかった。むしろ東電は、膨大な電力消費を目的として、このばかげた計画案を出したのではないかと思われる。
現状の汚染水タンク群(約1000基)も大幅に減らせたはずだ。
汚染水タンクは限界に達し、汚染水を海洋放出。
安倍首相が世界に宣言した「アンダーコントロール」は完全に破たんした。
政府はコストを優先した結果招いた「汚染水の海洋放出」を、真摯に反省、謝罪すべきだ。
全ての始まりは福島原発事故からだ。
人命の安全より「コストと利便性」を優先した東電の経営体質が重大事故を招いた。
汚染水の海洋放出で不利益を被る漁業者の怒りは収まらない。
福島第一原発が立地する場所は、海抜35mの切り立った台地。東電は「便宜面とコスト面」から海抜10mまで土を削り取って原発を建設した。
自己肯定バイアスの顕著な発現だ
工事中、地下水が湧き出したため、サブドレン(汲み上げ井戸)から地下水を海洋に放出するシステムを作った。
このシステムを2011年3月に地震と津波が襲い破壊した。
大量の地下水が原子炉建屋に流入し、汚染源、デブリに触れ「汚染水」となって海洋に流出。
「汚染水の海洋放出」は東電の「判断ミス」が原因だ。
2011年6月、東電は地下水流入を防ぐため、1~4号機を囲む地下遮水壁を作る計画案を提出した。
当初「スラリーウォール(粘土壁)」工法が提案されたが、1000億円レベルの工事になることがわかったため、東電自身がこの案を否定し、実現には至らなかった。
東電の大きな判断ミスだ。
コスト優先は合理性を無視し、現状を悪化させただけだ。
重大事故はコスト優先を重要な要因として、絶えることなく繰り返される。
検証をすることもなく、汚染水対策の切り札として、国が前面に立って進めたのが「凍土遮水壁」だ。
自己肯定バイアスはこうして発現する。
「凍土遮水壁」とは、原子炉建屋周辺の約1.5kmに1m置きに配管し、深さ約30mの凍結管を打ち込み、マイナス30℃の冷媒を循環させる。その凍結管によって、徐々に土を凍らせ、氷の壁を構築する工法だ。
これほど大規模な凍土壁は実績がなく、成功すると考えている専門家はほとんどいなかった。
この前代未聞の計画に、国は345億円を投じた。
★予想通りの失敗
この計画には当初から多くの疑問、問題があった。まず、一日400トンという膨大な地下水の流れを凍らせられるはずがない。流れる水は凍らないことは誰もが知っている常識だ。凍結のために膨大な電力を必要とした。
廃炉の30~40年間の電力費用や耐久性も疑問視されていた。
デブリを除去しない限り汚染水は発生し続ける。
多くの疑問と反対の中で工事は強行され、2016年3月から凍結を始めたが予想通り失敗。未凍結部分にセメント注入も行われた。
現時点で、汲み上げなければならない地下水の量はほとんど変わっていないことを東電も認めた。
原子力規制委員会の外部有識者は「計画は破たん」と指摘した。
2011年の事故で「メルトダウン」を起こした福島第一原発1号機、2号機、3号機では、溶け落ちた核燃料を冷やすために今も水を入れ続けている。これに加えて地下水や雨水が原子炉建屋内に流れ込んでいるため、1日およそ90トンのペースで「汚染水」が発生している。
地下水の流入量は、雨に左右されることが多い。東電のデータによると、雨が少ない1月は1日平均83トン。しかし、台風の影響下では866トンもの地下水が流れ込む結果となった。
汚染水に含まれている放射性物質の大半はALPS(多核種除去設備)と呼ばれる専用の設備で除去される。取り除くことが難しい「トリチウム」など一部の放射性物質を含んでいる水を「処理水」と呼ぶ。
処理水は6月29日現在でおよそ134万トンあり、敷地内に設置されている約1000基のタンクで保管されている。
セメントや鉄板など従来工法で囲う工事が行われていたら、ここまで事態が悪化することはなかった。むしろ東電は、膨大な電力消費を目的として、このばかげた計画案を出したのではないかと思われる。
現状の汚染水タンク群(約1000基)も大幅に減らせたはずだ。
汚染水タンクは限界に達し、汚染水を海洋放出。
安倍首相が世界に宣言した「アンダーコントロール」は完全に破たんした。
政府はコストを優先した結果招いた「汚染水の海洋放出」を、真摯に反省、謝罪すべきだ。
2023-07-27 22:18
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